月夜の判然

適度に適当に長い文を置いておく場所です

秋の夜長に…飲み物系インディーゲームのススメ

コーヒートーク続編発売決定+ニンテンドーオンラインいっせいトライアル開催おめでとうございます!!

 

topics.nintendo.co.jp

 

コーヒートークはしんみりと心に残る、面白いゲームですので、遊んだ事が無い方はこの機会にぜひ。

そう言えば私、コーヒートーク、VA-11 Hall-A、ネクロバリスタ…雑に括れば『飲み物系インディーゲーム』を少々遊んだよな…というわけで、秋の夜長にお一つどうですか?といった感じのふんわりとした紹介文をお送りします。どれも面白いゲームなので…

 

 

 

コーヒートーク

chorusworldwide.com

 

まずはコーヒートーク。舞台は2020年のアメリカ・シアトル。人間だけではなく様々な種族が共存しているこの世界で、夜間のみに営業するカフェ『コーヒートーク』のバリスタとしてお客さんに飲み物を振る舞いつつ、人々の話に耳を傾ける…ゲームとなっております。

 

 

〜ポイント〜

○雨の降る、夜のカフェでの人間模様
夜に営業するこのカフェは『アルコール飲料』の類は置いていません。温かい飲み物を求めるお客さんは仕事終わりだったり、仕事中だったり、はたまたオフの日だったり…お客さんのリクエストを元に飲み物を提供しながら、彼らの話から感じる日常に思いを馳せましょう。
様々な種族が共存しているというと、ゲームのプレイヤーからしたら『変わった世界だな…』と思うわけですが、登場人物からしてみればそれが当たり前の世界です。お客さんの会話や出てくる読み物の数々からにじみ出る、この『当たり前』感が絶妙で最後まで世界観に没入して遊べます。とても大事。
なお、結構本格的な(そして思い通りにするのはやたら難しい)ラテアートができますが、無理にやらなくても物語は楽しめます。ご安心を。

注文を聞いて、コーヒーをふるまう。ただそれだけ。


○生活には困ってないけど…なにかしら悩みはあるもんで…
この店に訪れるお客さんの『客層』は、だいぶ生活に余裕のある大人…って感じです。何人か一風変わった人々がいますが。そんな彼らが飲み物を片手に話す悩みは、今を生きる『生活』よりも、どのように生きるかの『人生のあり方』に重きを置いていたり。なにが正解かは決められないその悩みに対し、彼らが出す考えや結論の数々を見届けてください。
(ところで…フレイヤみたいな常連客、マジでリアルのカフェに居る気がするんだよなぁ〜〜気のせいかなぁ…)

カウンターに並んで座る、いろんなお客さん


○言うなればフェイスブック
作中で登場人物に対する情報を見ることができるメニューがあります。ゲームの進行によって情報が増えてくるのですが、この画面がこう…フェイスブックみたいな雰囲気です。確かにみんなそういう感じの人々なんだよなぁ…って納得するんですよ…


○金に困っていない主人公
主人公はカフェの店主なのに、お金の話は案外出てこない…どころか、作中でお店に関するちょっと驚きの事実が判明します。このお店の飲み物、一体おいくらなんだろう…??


○チルポップ…?新感覚なBGMの数々
夜中のカフェという空気感にぴったりなBGMの数々。チルポップというジャンルらしいです。初めて聴いた…作中では天候が雨の日もあるんですが、その時はBGMと共に雨の音がいい感じに入っています。サントラでは聴けないので、なかなかいいゲーム体験です。

 

○その後に思いを馳せる
カフェに訪れるお客さんたちは、飲み物を通じて自身の抱える悩みや問題に対して最終的には何かしらの結論を出します。でも、それはそれぞれの人生の通過点であり人生の一部だけなので、これからも彼らの生活は続いていくのです。ゲーム的には必ずエンディングを迎えるのですが、エンドロールを見ながら、バリスタとして眺めてきた彼らに対してその後どうなったかなぁ〜に思いを馳せたくなる、そんな経験をさせてくれるゲームだったりします。


○おまけ:コミックも読んでね
ゲーム内のエクストラの項目に『コミック』というものがあり、登場人物たちの日常のひとコマを見ることができます。ゲームをクリアしてから読むとまた味わい深いのでぜひ。

 

 

 

VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)

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次はVA-11 Hall-A。おそらく最も有名な飲み物系インディーゲームじゃないでしょうか?コーヒートークの制作者さんたちもリスペクトしているこのゲーム。舞台は西暦207X年、グリッチシティ。大企業と犯罪帝国が牛耳るいわゆるディストピアと呼んでいいような街。この無法地帯も甚だしい街の一角にあるバー『Va-11 Hall-A』で働くバーテンダーのジルとなってカクテルを提供しつつ、人々と話をしたり、人々の話を聞いたりする…ゲームとなっております。

 

 

〜ポイント〜

○ネオン光る、夜のバーでの人間模様
バーテンダーのジルとしてお客様にアルコール入りのドリンクを振る舞いましょう!とはいえ、あらすじから無法地帯のこの世界、舞台はバー、そしてこのゲームはCERO:D(17才以上対象)。何も起きないハズがなく……飛び交う会話はギリギリで猥雑。遊ぶプレイヤーによっては顔を赤らめ、しかめたくなるかもしれません。個人的な感想になるのですが、だからと言ってそんなに『嫌な気はしない』んですよ…まぁバーだし、アルコール入ってるし、彼らはそんなこと言うもんな…と納得する、絶妙なさじ加減で繰り広げられるオトナの会話、オトナの人間関係をぜひ楽しんで。

今日も一日、バーテンするぞ…!


○殺伐としたディストピアで今日を生きる…尽きることの無い悩みゴト…

絵に描いたようなディストピアであるグリッチシティ。ゲーム的には広い世界を歩き回る事が無いものの、ジルのぼやき・登場人物の会話・アイテムの説明文など…至るところから『ヤベー世界』という事が嫌でも伝わってきます。そんな世界なのでお客さんの抱える悩みは尽きず、その程度は多種多様。プレイヤーが画面の向こうでどうこう言える問題でもなく…ズバッと解決は無理かもしれないけど、このバーにて人に話すことでその人の中で何かは変わる…かもしれないよね。って話です。オトナだ…


○言うなれば平成のインターネット
作中ではニュースサイトを見ることができます…まぁ、この世界観にマッチする、いわゆる平成のインターネットってヤツです。この文字列を見て、みなさんの頭の中で想像しているモノがそのまま出てくると思われます。ニュースの数々に対するジルのネット民度を感じるコメントもまた一興。


○金に困っている主人公
カクテルには値段が記載されています…ある時期まである程度のお金を持っておかないとジルに生活の危機がせまる…!!そう、思っている以上にちゃんとバーテンダー稼業をしないといけないのである…!!そしてジルはカネが無いけど物欲はシッカリあるのである…程度はどうあれ、欲しいモノが買えなかった時、ちょっと心に引きずることってあるよね…

 


○対象年齢相当のここには書けない話題
猥雑な話題がある…と先述しましたが、本当にヤバいです。コーヒートークから気になって遊んでみよう…と思っている方は若干心構えしておきましょう。

カワイイ見た目のドロシーちゃん。でも口を開けば…


○バーに立ち寄る彼らの姿はその人生の通過点に過ぎない件
カクテルを飲みにくるお客さんも、主人公のジルも…いろいろな悩みを抱えています。人に話すことや、時間の経過によってちょっとは解決することもあるでしょう。難題過ぎて解決しなかった事もあるかもしれません。でもそれは人生の通過点あり、このクソみたいな世界で彼らの生活はおそらく続いていくのです。エンディングを迎えた後、ジルたちにこれからちょっとぐらい、いいことがありますように…と願わずにはいられなかったりします。このゲームを遊んだ経験はプレイヤーの一日を変え、一生を変える事になる…かもしれない??

 

 

 

ネクロバリスタ

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最後はネクロバリスタ。舞台はオーストラリアのメルボルンの町、カールトン。架空のカフェ『ターミナル』にてバリスタであるマディとその周囲の人々による群像劇です。ただしこのカフェは生者と死者が訪れる、とても変わった場所であった…!先述の二作とは異なり、このゲームについては完全なるビジュアルノベルとなっております。飲み物は作りませんのでご注意を。

 

 

〜ポイント〜

○景色ほのめく、黄昏時のカフェでの人間模様
先述の二本のゲームは主に『夜』の雰囲気のゲームでしたが、ネクロバリスタについてはどちらかというと、その曖昧な『黄昏時』の雰囲気のゲームだと思っております。そんなカフェの店主のマディとその周囲の人々という、ちょっと狭めの人間関係で進む物語は、短いながらも心に残るものとなるでしょう。途中で見ることができる、本編とは独立した二つの短編もなかなか面白いです。(あまりにも独立しすぎてビックリしますが…)
それと…ゲーム開始直後はマジで文字が『読みにくい』です。自分の遊ぶ環境で見えるよう、オプションでいじってから遊ぶ事をオススメします。

ところでマディさん、なかなかすごい恰好をしていません…?


○今目の前にいるのは…生者か死者か?…止める事のできない時間の悩み
生者と死者が同じ場にいるカフェですが、それを相手に明かす事は義務ではありません。パッと見ただけでは『どちら側の人間』かわからない人々、曖昧なひとときを過ごすカフェ……だけど、死者の滞在は24時間まで。いくらこの世に未練があれど、ずっとここに居る事ができるわけではありません。長期滞在すると……


○言うなれば小説
ゲーム内で何かしらの情報項目がある…わけではないのですが、テキストのみのサイドストーリーを見ることができます。マディと周囲の人たちの意外な一面が見られる文章や、ターミナルに訪れる人々の『客層』を感じられる文章、世界観が感じられる文章の数々をのぞいてみてください。

 

○金どころではないモノに困っている主人公
マディが店主をしているカフェ・ターミナルはある問題を抱えています。彼女が困っているのは時間の『負債』。死者が滞在できる24時間を超過した時間は店側の負債となってしまうのです。だからといってマディは時間切れだからと無情にも彼らを追い出すことはできない…なぜなら…(実際にゲームを遊んでみよう!)

 

○ウインドウの無いゲーム
ビジュアルノベルゲームですが、なんとこのゲーム、セリフを表示するウインドウがありません!なのに『会話のテンポは損なわれず』『誰がしゃべっているのかわかる』『会話の文なのか地の文なのかわかる』という不思議な感覚…このゲームならではです。
それと、表示テキストの一部で色違いになっているものがあります。これをチェックするとそのキーワードに対する補足情報が表示されるのですが、その内容が妙にキレッキレです。必見。

確かに…????


○止めていた時間を動かし、前に進むためには
マディとその周囲の人々は『時間』に対して何かしらの問題や思うところがあります。それにより、意図しても意図してなくても、心の中では時間を止めているのかもしれません。しかし、残念ながら時間というものは止める事はできないものです。彼女たちが前に進む為にどうするのか…画面の向こうのプレイヤーができる事はないのですが、その結末をぜひ見届けてください。

 

 

 

なんとな〜く紹介してみましたが…飲み物を扱うお店を起点とした人間関係を眺めるといった部分は共通すれど、どれもそれぞれ違う味わいを感じ、心に残るとても面白いゲームたちです。機会がありましたら、ぜひ遊んでみてください。


…コーヒートークの続編もだけど、N1RV Ann-A(VA-11 Hall-Aの続編)も首を長~~~くして気長に待ってるからネ!!頼むゼ!!